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▼佃煮戦士!イナゴエーックス!!

佃煮戦士!イナゴエーックス!!/
2006年度制作テーマは「いなご」。

きちんとストーリーがあります。

佃煮戦士!イナゴX(エックス)  〜あらすじ〜

山形県南部、山間の田んぼに突然異変が起こった!

この町で、郵便局の臨時配達員として働く一人の青年がいた。名は稲吾郎。

普段は町民みんなにしたわれる、ちょっとドジで気のやさしい青年で、配達中に犬に追いかけられることもしばしば。

しかし、そんな彼には、誰も知らないもう一つの顔があった。

佃煮戦士!イナゴX。それが彼のもう一つの顔である。町の田んぼをイナゴの被害から守るべく、幼い頃、よりすぐりのイナゴから造り出され育てられたイナゴ人間なのである。

彼は、郵便配達をしながら町の田んぼを監視し、頭に隠されたイナゴアンテナにより、イナゴ大佐率いるイナゴ軍の発生を感知すると、イナゴライダーへと変身。

虫取り網を片手にすぐさま現場に駆け付け、イナゴの跳躍力やスピード、パワーなど様々な能力を生かし、次々にイナゴたち排除する、と同時に佃煮にして町民たちにタンパク質の提供もしてしまうという、スーパーヒーローだったのだ。

そんなことなど知るよしもない町民たちが、いつもどおり平穏な生活を送っているある日、ついに異変は起きた。

いつも今一歩のところで、イナゴXに思惑を邪魔されているイナゴ大佐がイナゴ達を総動員し、ついに総攻撃を仕掛けてきたのだ。

町の田んぼにはイナゴが大量発生。イナゴ警報も発令される緊急事態。町はパニックとなり、逃げまどう町民たち。その中に田んぼに逃げ遅れた少女の姿が・・・。

彼女の名は空豆子。郵便配達をする吾郎に、農作業をしながらいつも優しく声をかけ、町民みんなに好かれる、吾郎の初恋の人であった。

佃煮戦士!イナゴXは立ち上がった。町民たちを守るため、町の田んぼを守るため、そして、愛するものを守るため。

しかし、今までにないイナゴの大量発生に、さすがのイナゴライダーも大苦戦。

傷つきながらも、何とかすべてのイナゴ達を佃煮にし終えると、最後の強敵、イナゴ大佐が現れた。

他のイナゴ達とは比べものにならないスピードとパワーを兼ね備えたイナゴ大佐に、傷ついたイナゴライダーは最後の力を振り絞り死闘を繰り広げる。しかし、勝負の結果は火を見るよりも明らかであった。

変身も解け、体もボロボロ、立つ力もなく田んぼに這いつくばる吾郎。豆子は初めてイナゴライダーの正体に気付いてしまう。その時、大佐が豆子を連れ去ろうとする。

吾郎は立ち上がった。あの跳躍力もスピードもパワーもない体で、気持ちだけで大佐に突進する。大佐はその気迫に押され攻撃をまともに受け、イナゴライダーとともに崖から落ちていく。その下には佃煮用の煮詰まった鍋が・・・。

「吾郎さ〜ん!!」と豆子が叫ぶが、その声は吾郎には届かなかった。

悲しみに暮れる豆子。残された虫取り網。その時、静まりかえった田んぼにふいた秋風。その風に乗って食欲をそそる甘じょっぱいにおいが、豆子の鼻を刺激した。

見ると、吾郎が落ちていったその鍋に、おいしそうなイナゴの佃煮が出来上がっていた。

豆子は心に誓った。「悲しんでる暇はないわ。吾郎さんの意志と、吾郎さんの命を無駄にしてはいけない!」と。

豆子は、そのおいしそうな佃煮の入った鍋をもって夕暮れのあぜ道を走り出した。

数日後、豆子は、道の駅いいで「めざみの里観光物産館」にいた。

吾郎の意志と命を無駄にしないため、みんなに味わってもらうため、あの佃煮を販売していたのだ。その名も『吾郎の佃煮』!

『吾郎の佃煮』!は、大変おいしくタンパク質も豊富との評判で、町民をはじめ飯豊町を訪れる観光客にも大人気であるという。

”イナゴ注意報発令!、イナゴ注意報発令!”
そして今日も、虫取り網片手に走り出して行く豆子の姿があった。吾郎の意志を胸に・・・。

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