ヤマガタンver9 > けんちゃんの田んぼ(その2)

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▼けんちゃんの田んぼ(その2)


 蒸し暑い日が続いている。こんな時は「いもち病」が心配で、県や農協の広報も「いもち病注意報」を出して気をつけるよう呼びかけている。
 「いもち病」とは一種のカビがつくりだす病気で、葉に付いた場合、緑の葉に点々と茶色の斑点ができ、やがて葉の全部が褐変する。葉の「いもち病」は、穂の「いもち病」につながり、ひどい場合は、田んぼ全てが枯れてしまったかのようになる。農家は気落ちのあまり「いっそ火をつけて燃やしてしまおうか。」とすらとなるほどだ。私はまだ経験がないけれど、その恐ろしさは充分知っている。
 高温多湿。「いもち病」の蔓延する条件は充分にそろっている。すでに周りでは田植えと同時に一度目の殺菌防除を終え、二度目の準備を進めているが、殺菌、殺虫ゼロを目標にしている菅野農園では、まだ一度もやっていない。それだけに、息子は毎日田んぼを見まわり、その管理にいっそう気を使っていたのだが、遂に我が家の田んぼににも「いもち病」が発生した。
 発生源は昨年同様、けんちゃんの田んぼだ。手がまわらず、雑草が生い茂っていた。そのため風通しが悪く、「いもち病」の巣になってしまった。そこを発生源に菌は周りに飛んでいく。我が家だけでなく、隣地に田んぼにも広がっている。
「全部の田んぼじゃないが、今年も殺菌剤ゼロのコメとはならないなぁ。」と肩を落とす息子。
 その被害は大きい。ガッカリもする。とはいえ、けんちゃんに責任を求めることは出来ない。田んぼはみんなお互い様なのだ。
 けんちゃんは86歳。もう水田管理することは無理なんだな。だからと言って、我が家で引き受けることも出来ない。他の方法を探すしかないだろう。
 ま、けんちゃん、無理せず、楽しくやろうぜ。その内、1升もって遊びに行くよ。けんちゃんが言うようにまだ人生、半分なのだから。

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