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▼ヤマガタ蔵プロジェクトのゆくえ その5

蔵が生む町歩きの楽しさ

司会
 山形の蔵は通りから奥まったところにある場合が多いからこそ、郊外では体験できない歩いていく楽しみがあります。町歩きの楽しさと蔵の存在を、中心市街地の活性化問題と合わせて考えることができるのではないでしょうか。

竹内
 中心市街地では住んでいる人の高齢化が進んでいます。高齢者向けマンションやコンビニエンスストアができる計画もあるようです。高齢者にとってコンビニは便利かもしれないけれど、とりたてて行きたい場所であるとは思えない。中心市街地の問題を語る際にはつい商業的な賑わいにばかり目が向きがちですが、むしろ街の中に人が行きたくなる場所をどれだけ持っているかの方が大事になってきますよ。その場所は誰が作るのかというと、 町の住人たちです。
 何でも揃う郊外の大型店での買い物で満足している人たちは、もはや買い物のためだけに町中に来ることはない。したがって、中心市街地の店が郊外の商業施設と同じことをやっても勝ち目はない。郊外店舗には消費するものなら何だってあるけれど、 大人が満足できる雰囲気のいい空間はなかなかありません。大人が何に魅力を感じているかを突き詰めて考えると、蔵には大きな可能性があるといえます。

司会
 子供を対象としたワークショップも開催していますが、 子供たちの反応はどうでしょう。

竹内
 郊外のファーストフード店で満足している子供たちが蔵に来たらつまらないかというと、 そうでもないんですよ。「へえ、昔の建物なんだ」「ここにあるモノは何なの」なんて会話が成り立っています。利便性を追求して現在の暮らしができあがってきた文脈というか、自分たちの生活史を自然に理解できる場所なんですね。


[珍しそうに蔵を見つめる女の子。「蔵ネット蔵体験ワークショップ2」にて]

山畑
 顧問として参加した山形県建設業協会の青年部でまとめた提言書があります。 そこには歩行者専用のフットパスや遺跡を結びつけて歩ける町にしようという内容も盛り込まれています。点在する蔵を繋ぎながら何か仕掛けると、歩いて楽しい、郊外の全国チェーンの店舗にはない、山形ならではの空間が生まれるでしょうね。


[蔵ネット蔵体験ワークショップにて。芸工生とこどもたち]

・・・その6へつづく
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