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●書籍「生物多様性を育む食と農」の紹介
 先日、懇意にさせていただいている名古屋大学大学院国際開発研究科(農村地域開発プログラム)教授の西川芳昭先生から本が届いた。
書籍「生物多様性を育む食と農」(2012年3月26日コモンズから刊行)
 私たちの食生活を支える農作物の品種改良は、社会の価値観や気象条件の変化に対応した生産を続ける上で、これまでも必要とされてきたし、これからも不可欠なものであることは間違いない。しかしながら非常に優れた新品種が導入されると、従来の品種は栽培されなくなり、品種の多様性が減少することがある。また、作物そのものが自給自足の生活手段から、換金手段へと変化したために、農家は売りものになる品種しか栽培できなくなってしまったことも、作物品種の多様性を大きく減少させた一因となっている。しかし、品種の多様性は、新品種を生み出すためにも、地域の豊かな生活や文化を守るためにも必要なものである。このように生産性や経済性の向上と品種の多様性とはこれまで両者とも望ましいものでありながら、相矛盾する関係に立たされてきた。
 さらに近年、多様な作物資源の重要性がより強く認識されるようになり、それらの保全と利用に関する国際条約の議論も活発化しているが、その解釈や国内法への適用の仕方によっては農家が種子を自由に選んだり,その利用に関する伝統的知識の保護が脅かされかねない状況もある。
 こうした状況をふまえ、この本は作物品種の多様性と農家の権利を守りながら、種子の利用を広く進めるために何が必要なのかについて、国内外の取り組み事例を交えて、広く考えるための情報をふんだんに提供してくれる。
 種子の未来を考える人に、是非とも読んでいただきたい。




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2012.04.11
(C)山形在来作物研究会

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